筑波嶺の 峰よりおつる みなの川 
 こひぞ つもりて 淵となりぬる
  
  陽成院(百人一首 13番)



《読み》
つくばねの みねよりおつる みなのがは 
 こひぞつもりて ふちとなりぬる

  陽成院(やうぜいゐん)


《現代語訳》
筑波のいただきから流れ落ちてくる水が男女川(みなのがわ)になります。最初は細々とした流れから次第に水かさを増して深い淵となるように、我が思いもつもり積もって、淵のように深い恋となってしまったよ。


《メモ》
筑波は常陸国(現在の茨城県)の筑波山のことです。筑波嶺(つくばね)は、歌垣(うたがき。古代、春と秋に男女が集まり、お互いに歌を歌いながら求愛や求婚をした行事)の場所として有名です。

このように、筑波嶺(つくばね)をはじめとする歌枕にはそれぞれ、一定のイメージが蓄積されているので、歌に置くだけで多くの意味を含めることができます。

歌が詠まれたころの都は、今の京都です。京都から見て東国にある「つくばね」は、田舎で野蛮で、無粋なイメージがあったことでしょう。そんな「つくばね」を恋の舞台に据えることで、陽成院の素朴で粗野な恋の形も表現されています。

ひとつの言葉にたくさんの情報が含まれている日本語の感性の豊かさをあらためて感じずにはいられません。

イメージ



Wikisource: 小倉百人一首に収められている歌の一覧


NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
ニューコードNLPスクール
ロゴマーク


記事更新日:2020/08/03